シャングリラ、というのは桃源郷、つまり人々にとって理想的な楽園という感じの意味の言葉だと思ってました。シャングリラという言葉そのものは、アメリカの小説家が使ったものなので英語なのでしょうが、そもそも桃源郷という言葉が中国から来たもので、あちらの理想郷というのは”俗世間から離れ、山水の中で仙境に遊んだり素朴な農耕をしたりできる世界、仙人のいる場所”なんだとか。私の思う、楽園とはちょっと違う・・・。
しかも、チベット国境に近い中国雲南省の北部には、実際にシャングリラ(香格里拉)という地域が存在するんですって!雪山が聳える峡谷、神秘的な寺院、森林と湖、麗しい草原、その美しい自然の景観は、雲南省・三江併流地域としてユネスコの世界遺産にも登録されているそうです。
ここで、ようやく今日”シャングリラ”という言葉を持ち出してきた意図と繋がるわけなのですが。この地域は自然だけでなく、言葉や習慣の違う25もの少数民族が暮らし、その民俗文化も注目されています。失われつつあるその文化、特に民族衣装や歌、舞踊などを保護しようという活動が行われていて、その中心がヤン・リーピンという、日本でいえば人間国宝級の中国の舞踊家。彼女自身も、雲南省の少数民族であるペー族の出身で、自ら現地に赴き、歌や舞踊に秀でた本来は農民として働く人々をスカウトして、芸術性を高めて舞台化したのが、”シャングリラ”という演目なのです。
かなり熱く語ってしまいましたが、というのも私がヤン・リーピンの存在を知ったのが、彼女が初来日した3年前。その時にはすでに、公演のチケットは完売。好評だったため、昨年も来日公演が実現したのですが、期間中にどうしても上京する都合が付かずに断念。そして、今年こそ、という気持ちが通じたのか、初の関西公演が決定。3年越しでやっと念願がかなったわけなのです。
中国本土ではかなり有名である彼女ですが、現在は海外でのプロモーシャン活動を主に行っていて、本人が踊ることはほとんどないのだとか。日本公演では、その彼女のソロ演目があるとあって、富裕層の中国の方らしき人々が団体で来ていました。
舞台は、梅田芸術劇場のメインホール。ホールに入ると、すでに舞台の幕は開いていて、なんだか幻想的な雰囲気。せっかくなので、サイン入りのプログラムとTシャツのセットを購入。プログラム単品には、サインは入っていないってところが商売上手。
肝心の内容ですが、ちょっと想像と違ったというのが正直な感想。一番華やかだった”花腰歌舞”なんかは衣装も歌も踊りも好みで印象通りだったのですが、全体的に予想していたプリミティブさ、に大幅に手が加わって芸術性が高められた感じ。それが違和感の原因なのかも。
それでも、やはりさすがのヤン・リーピン。彼女のソロ舞踊(”月光”、”孔雀の精霊”は、今まで見たことのない指や腕の動き。どこの筋肉をどうやって動かしてるの?と目を奪われます。いやはや、いいもの見せてもらいました。
興味のある方は、演目をクリックしてみて下さい。You Tobeの動画に飛びます。
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